最低のクリスマス
どんなに寂しいクリスマスも、星飛雄馬のそれに比べればいくらかマシである。
みなさんメリクリ。今年はどんなクリスマスをお過ごしになっただろうか。
愛する家族や恋人と過ごした人もいれば、友人達と楽しく過ごした人もいるだろう。
中には仕事に追われた人も一人で過ごした人もいるだろう。
「クリスマスなのになんでこんな事してるんだろう。」
そう思った人もいるだろう。
そんな貴方に一つ教えてしんぜよう。どんなクリスマスも、星飛雄馬のそれに比べればなんてことはない。
星飛雄馬の悲しきクリスマス。
あなたは巨人の星というアニメをご存知だろうか。
巨人の星とは、原作・梶原一騎、作画・川崎のぼる原作の、よみうりテレビ系で1968年3月30日~1971年9月18日まで放送されたアニメ作品である。
その強烈なストーリーや独特の台詞回し、少年心をくすぐる魅力的な魔球の設定。
そして現代ならコンプライアンスをぶっちぎりで違反してしまう名(迷)シーン。
後のスポ根漫画やトンデモスポーツ漫画に多大な影響を与えた作品である。
当時はそのブッ飛んだ内容により、各界から猛烈な批判もあった。
主人公の星飛雄馬(ほし ひゅうま)は幼い頃から父・一徹のスパルタ野球教育を受け、山あり谷ありの末、念願の読売巨人軍に入団した。
事の発端は、飛雄馬が披露で入院したことから始まる。そこに見舞いに来たのはライバルのオズマ。飛雄馬は、ライバルのオズマに「野球しかできない野球ロボット」と言われショックを受ける。そして人間らしいことをしようとクリスマスパーティを思いつくのだ。
パーティを企画し、寮の使っていない部屋を一人で大掃除。ついには壁にペンキまで塗ってしまう。いいの?ここ寮だよ?
でもって意気揚々と巨大なクリスマスケーキを発注し、謎の実写パートでは手作りの招待状を制作。プレゼントまで用意する。健気にクリスマスパーティーの準備をする星の姿を見て、涙を流すのは私だけではないはずだ。
しかし、そんならしくない姿に伴は怒りを覚える、相棒の伴。
「お前は道を外れている。以前の野球一筋姿に戻ってくれ」と説得したがそれもむなしく「何がクリスマスじゃあい!ちくしょおおおおおおおお」と末代まで残る名捨て台詞を残し、星の前から姿を消してしまった。
そして悲劇は始まる。センスがバキバキに輝く謎デザイン帽子をかぶった星。
時間になっても招待した友人は一人も来ず、二通の電報が星の下へ届く。
左門「来年はお前の魔球打ち込んだるから。パーティーはそれからじゃ。」
花形「君と僕との間にかわされる言葉はこれのみ!勝負!」
そしてトドメの電報が姉から届く。
「ザンネンユケヌ」
ただでさえ下り坂だった星のメンタルはこの七文字で粉々に砕け散った。
ついには「クリスマスは人間同士やるものだ。お前は野球ロボットなんだよ。ロボットはロボット同士よろしくやろうぜ。」というオズマの幻覚まで見えてくる。
(実際オズマはそんなこと一言も言っていない。)
そして絶望が星を野獣に変貌させる。
うおおおおおーーー!!!!
うおおおおおーーー!!!!
ツリーなんか......
こうじゃーーーー!!!
ガシャーーーーン!!!
おい、お前ここ寮やぞ。
チーーーン。
いかがだっただろうか。こんなに悲しいクリスマス世界中探したって見つからない。
もし、あなたがクリスマスを悲しく感じてしまった日は、この愚かな野球ロボットのことを思い出してあげて欲しい。少しは心が軽くなるはずだから。
参考動画
youtubeにもさがしたら動画がありますわ。