というわけで For this reason

とりあえず 楽しまなけりゃ 馬鹿らしい。

拝啓 プロレスを「ヤラセ」とバカにする人たちと、その返答に困っている人たちへ

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当ブログをご愛読いただいている皆様はご承知のことと存じますが、私はプロレスが好きです。そりゃあもう大好きです。

 

そんな私が最近ある動画を見つけました。

 

 確かに、私自身も友人知人から同じような発言や質問を受けたことがあります。

今回はこの問題について私なりの見解を述べたいと思います。あくまで一人のプロレスファンの戯れ言ですので、右から左へ軽く受け流していただけたらと存じます。

 

「ブック」の存在

結論から言いましょう。プロレスには「ブック」が存在します。「ブック」とはプロレスの試合における段取りや勝敗の付け方についての台本のことで、この台本を考案、作成する人間を「ブッカー」または「マッチメイカー」と呼びます。

 

ブッカーはリング外での筋書き(アングルといいます)や試合展開、その決着方法についての台本を考えます。レスラーはそれに合わせた試合を行います。勝敗以外の詳細な試合展開については、試合を行うレスラー同士に任されることが多いと言われており、口頭での打ち合わせによってなされるのが基本のようです。

 

こういう打ち合わせのシーンはプロレスを題材にした映画やドキュメンタリー、漫画などにもよく出てきます。世界最大のプロレス団体『WWE』の内側を描いたドキュメンタリー映画ビヨンド・ザ・マット』では、ザ・ロック(俳優のドウェイン・ジョンソン)とミック・フォーリーが場外乱闘時の観客席の移動ルートやパイプ椅子での殴打回数などを打合せするシーンが見られます。

 

WWEは、株式上場にあたり台本の存在を非公表のまま上場することがコンプライアンス上問題があるという理由から台本の存在を公言しています。また所属レスラーが死亡した際に、物語上で対立していたレスラーが「対立はあくまでもエンターテインメントでありリング外では家族の様な関係であった」と自身のWebサイトで弔意コメントを出すこともあります。

 

プロレスには「ブック」があります。それを念頭に置かないとプロレスを楽しむことは難しいです。なぜなら、ブックやアングルはプロレスの魅力の一つでもあるのです。

 

プロレスは「アンパンマン」みたいなもんです

私は人様にプロレスについて尋ねられたときは、「プロレスってのはねぇ、『アンパンマン』みたいなもんだよ。」と答えます。

 

アンパンマンってだいたいストーリーの流れがあるじゃないですか。村人がバイキンマンに襲われて、アンパンマンが助ける。正義の味方が弱きを助け強きを挫く。現代の日本人が一番最初に学ぶ勧善懲悪の仕組みが『アンパンマン』ではないでしょうか。

 

プロレスにもざっくりいうと「正義の味方」と「悪役」が存在します。プロレス用語で「ベビーフェイス(正義)とヒール(悪役)」といった言われ方をします。次の写真をご覧ください。

どっちがアンパンマンでどっちがバイキンマンでしょう?殆どの方が左の棚橋弘至選手が正義で右の鈴木みのる選手が悪だと言い切るでしょう。つまり、この試合のミソは「極悪非道のバイキンマン鈴木みのる)に対し、棚橋弘至アンパンマン)はどう立ち向かうか?」という点になってくるのです。

 

予想の裏切りとライバルストーリー

アンパンマンは通常だいたい一話辺り10分ぐらいでストーリーを形成するわけです。この試合がもし10分の話なら、鈴木みのるが村人に嫌がらせをして、棚橋が助けに来てアンパンチからのは~ひふ~へほ~で一件落着なのです。

 

しかし、写真をご覧ください。この試合は60分一本勝負。つまり、最長一時間の試合なわけです。しかもベルトがかかった大きな試合です。

 

アンパンマンもTVスペシャルとか映画版になると中身がグレードアップするでしょう?それと一緒です。この試合のバイキンマンはいつもより凶悪なマシンに乗ったり、村人を人質にとったり、ドキンちゃんやかびるんるんなどの配下を使ってとことんアンパンマンを追い詰めてきます。

 

我々は今までの経験から、最終的にアンパンマンが勝利するであろうことは予想できます。しかし、その過程で心身ともにとことん痛めつけられるアンパンマンを観ていると、「ひょっとして敗北してしまうのでは?」と焦りや不安感が湧いてきます。そして、必死に耐えるヒーローの姿に思わず声援を送ってしまうのです。

 

その結果、起死回生のアンパンチで勝利するアンパンマンを観て、一気に開放され、勝利のカタルシスを味わうことができるのです。

 

しかし、これが一時間番組でなく、3話連続だったらどうでしょうか?ひょっとしたら、1話2話ではアンパンマンは負けてしまうかもしれません。そういうバッドエンドもあるのがプロレスなのです。予想通りに行ったときの安心感と予想を裏切られたときの衝撃。この狭間でずっと感情を揺さぶられるのがプロレスの楽しみ方なのです。

 

そして、プロレスではアンパンマンバイキンマンだけでなく食パンマンやカレーパンマンと戦うこともあります。これは善対悪ではなく、善対善、つまりライバルストーリーです。これこそ、どちらが勝つかわからなくなりますよね。たまにアンパンマンジャムおじさんと試合をすることだってあるのです。もう対戦カードだけでワクワクしますよね。

 

また面白いのが「悪対悪」のパターンです。バイキンマン対氷の女王というパターンもあるのです。展開によっては圧倒的な強さを誇る氷の女王にアンパンマンバイキンマンがタッグを組んで挑むということもあり得るでしょう。もうちびっこはテレビにかじりつきになるでしょうね。

 

では、そうやって心からの声援をアンパンマンに送っている子どもたちにこんな言葉を投げかける人がどうでしょうか?「結局アンパンマンが勝つんだろ?」

 

きっと子どもたちは興ざめしてしまうでしょう。なかには、アンパンマンよりルフィとか悟空のほうが強い!!」とか「バイキンマンジャムおじさんを襲ったり、小麦の供給をストップすれば勝てるのにやらないのは馬鹿!!」というよくわからないことを言ってくる人もいます。やれやれだぜ。

 

時代とともに変化したプロレス

プロレスは強さの象徴であり、そういう「ブック」や「アングル」に関する発言はタブーとされていました。

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これは漫画『餓狼伝』での一コマです。プロレスを侮辱した主人公に関係者がブチ切れてます。作品の時代設定としては1985年頃と思われます。当時、強さの象徴であったプロレスを馬鹿にされることは関係者にとっては最大の侮辱だったのです。

 

次に、これは『ケンガンオメガ』での一コマです。前のページでプロレスを八百長呼ばわりした主人公を笑い飛ばすレスラーたちです。時代は現在。彼らは自身の職業をよく理解しています。

 

K-1UFC、RISINなど格闘技を目にすることが増えた我々は『リアル』を知っています。格闘技では打撃はガードしたり避けたりするのが基本であること。関節技や絞め技は一度決まったら抜けられないこと。

 

では、プロレスは『リアル』ではないのでしょうか?プロレスをしているのは間違いなく血の通った人間です。痛みを感じる人間です。流す汗、涙、血は間違いなく人間のものなのです。

 

ファンを喜ばせたい。その一心で技を繰り出し、技を受け、リングの上で命を燃やすレスラーを、それを応援するか方々をバカにする権利は誰にもないのです。

 

それでもプロレスを批判する人はそれでいいと思います。まだアンパンマンの仕組みがよくわかっていないのですから、温かい目で見守るかチャンネルを変えるしかありません。そういう人たちにいちいちファンは声を荒らげずともよいのです。ただ笑い飛ばせばよいのです。

 

最後に

プロレスの魅力を沢山の人にわかっていただくには、まず自身がもう一度プロレスの魅力について考えよう。そう思ってこの記事を書かせていただきました。

「ヤラセ」に対するプロレスファンの方々の返答の一つの例として。また、まだ未開拓の方へのプロレスに興味を持っていただく第一歩になればと存じます。

 

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